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双極性障害(躁うつ病)について


2022年1月12日更新


双極性障害(躁うつ病)は、非常に調子が良くなって活動的になる「躁状態」と、憂うつで元気がなくなる「うつ状態」を繰り返してしまう病気です。



双極性障害は「双極T型障害」と「双極U型障害」に分類されます

双極T型障害
躁状態とうつ状態が出現します

双極U型障害
軽躁状態とうつ状態が出現します





【双極性障害の症状】

躁状態の時は、大きな理由がないのに、気分は爽快になり、楽しくなります。上機嫌になったり、楽観的になり、気分も開放的になります。自信にも満ち溢れます。

些細なことで怒りっぽくなり、周囲とぶつかったり、喧嘩したりしてしまいます。


 

夜もあまり寝ずに、早朝から夜まで活動的になります。動き回り、じっとできなくなります。

自分がとても素晴らしい人間、偉い人間だと感じて、突然選挙に出ようとか、会社を作ろうとするなど、それまで考えもしなかったことを思いつきます。

次々とアイデアが湧いてきたり、いろいろな考えが浮かんできます。そのため気が散ってしまい、注意が散漫になることがあります。

思いついたことを直ぐに行動に移すようになり、多弁で早口になります。夜中に次々と電話をしたり、音信不通だった知人を訪ねまわったりしてしまいます。

楽しいことに熱中するようになり、例えば、後先考えずにお金を浪費したりしてしまいます。


   

興奮が強くなると、行動や発言にまとまりがなくなります。

このようなことが続くと、周囲の人は困ったり、疲れ果ててしまいますが、患者さん自身は、自分が躁状態にあるいう自覚がないことが多いです。周りが躁状態であることを指摘すると、こんなに調子が良いのにと興奮してしまうことがあります。

一方、うつ状態のときの症状は、うつ病の方と大きく変わりはありません。気分は憂うつになります。それまで興味や喜びをもてたものに興味や関心が持てなくなります。

食欲もなくなり体重が落ちます。過食になり体重が増えることもあります。夜も眠れなくなります。一方で、過度に寝てしまうこともあります。

意欲や集中力が落ちます。考えることや決断することもできなくなります。物事が億劫になったり、疲れやすくなります。行動も遅くなります。

一方、焦りの気持ちが強くなることもあります。自分のことを価値のない人間と思ったり、自分のことを責めてしまいます。死にたい気持ちが出てきてしまうこともあります。

躁状態とうつ状態の症状が現れる間隔は、患者さんによって、数ヶ月だったり数年だったりといろいろです。

また、急速交代型(ラピッドサイクラー)と言って、1年に4回以上、躁状態とうつ状態を繰り返す方もいます。



【双極性障害はうつ病ではない】

「双極性障害」は、かつて「躁うつ病」と言われており、「うつ病」の一種と誤解されがちでした。しかし、この二つは異なる病気で、治療も異なります。

躁状態が明らかな方の場合は、双極性障害(躁うつ病)と診断しやすいのですが、躁状態が軽い方の場合は、うつ病と診断されることがあります。

双極性障害の患者さんの最初の症状は、3分の2の方がうつ状態から始まるとも言われています。躁状態や軽躁状態が出現するまで、数か月から数年かかることもあるため、初診の時に、うつ状態であった場合、双極性障害と正確に診断することは難しいことが多いです。


そのため、最初にうつ状態で発病され、うつ病と診断されたのちに躁状態となり、双極性障害(躁うつ病)と診断される方も少なくありません。最初にうつ病と診断された方の約10%が、のちに双極性障害へと診断が変わるという報告もあります。


【発病について】
日本における双極性障害の患者さんの頻度は、0.40.7%と言われています。発病は、若い方からご高齢の方まで幅広いですが、20代〜30代に発病される方が多いです。


【双極性障害の原因】
躁うつ病(双極性障害)については、遺伝的要因の関与が示唆されています。ある統計では、患者の家族の有病率は、一般の4〜17倍と言われています。また、一卵性双生児の一致率は50%〜70%と言われています。二卵性双生児の一致率は10〜20%と言われています。

 

【双極性障害の経過】

再発を繰り返すほど、次の再発までの期間が短くなってしまうことが知られています(急速交代化)。

また、双極性障害の症状のために、結婚生活や職業にしばしば深刻な影響を及ぼします。自殺率も高く、うつ病よりも高いというデータもあります。特に、躁状態とうつ状態が入り混じっている「混合状態」や、躁状態のときの自分の行動を思い返して自分を責めやすい「躁状態」から「うつ状態」に転じるタイミングは危険であり、自己破壊的な行動を起こしてしまいがちです。

双極性障害の方は、未治療のまま放置した場合、ほとんどの人が数年以内に再発するため、ほぼ生涯にわたる予防療法(薬物療法)が必要になります。


【双極性障害の治療】
躁状態は、患者さん本人にとってはとても調子が良いので、躁状態の時は治療を受けないことがよくあります。

しかし、躁状態の患者さんを治療せずに放っておくと、周囲との信頼関係を失ってしまうので(失職、離婚、友達を失くす、親類から距離を置かれる、借金など)、早期の治療が必要になりますし、再発予防も大切となります。

何とか患者さん自身が困っていること(眠れない、いらいらするなど)を引き出して、受診に結びつけます。

双極性障害(躁うつ病)の治療は、うつ病と同様、薬物療法、心理療法、社会的サポートの3本柱で行われますがが、薬物療法はうつ病と基本的に異なります。


【薬物療法について】
双極性障害では、うつ状態にも躁状態にも、気分安定薬(炭酸リチウム、リーマス、バルプロ酸、デパケン、カルバマゼピン、テグレトール、ラモトリギン、ラミクタールなど)を中心に用いるのが原則です。

気分安定薬には、抗躁効果、抗うつ効果だけではなく、躁・うつの両病相に対して予防効果があります(6割の患者さんは新たな病相を予防でき、躁状態やうつ状態になったとしても、軽く済みます)。


ただし、急性期の激しい躁状態には、気分安定薬のみで対応するのは不十分なことが多く、鎮静効果のある抗精神病薬(オランザピン、ジプレキサ、アリピプラゾール、エビリファイ)を併用します。

また、うつ状態のときにも、抗精神病薬(オランザピン、ジプレキサ、ビプレッソ、ラツーダ)を併用することがあります。

うつ病の治療に用いる抗うつ薬は、基本的には用いません。抗うつ薬により、躁状態になってしまう(躁転する)可能性があるためです。ただし、重症のうつ状態などの場合、気分安定薬と抗うつ薬を併用することもあります。



【気分安定薬】
● リチウム・リーマス
双極性障害における第一選択薬です。躁病相やうつ病相に対する治療効果だけではなく、どちらの病相に対しても予防効果があります。

ただし、効果の発現には時間がかかり、少なくとも2〜3週間ほどを要します。躁状態では、気分の爽快さを伴う躁状態によく効くと言われています。

お薬の有効な血中濃度と副作用(リチウム中毒)が出てしまう血中濃度が近いお薬です。特に、脱水にて血中の濃度が中毒域に達することがあるため、感染症による発熱、下痢、急な食事量や飲水量の低下などには、注意が必要です。採血検査にて血液中のお薬の濃度を測りながら、内服を続けます。

リチウムは胎児への催奇形性のあるお薬であるため、妊娠中や、妊娠の可能性のある患者様には投与することができません。母乳にも移行するため、授乳も避けていただきます。



●バルプロ酸・デパケン・バレリン
元々てんかんのお薬でしたが、双極性障害にも効果があることが認められました。

リチウムを内服し、効果が認められない場合に用いるお薬の一つです。躁状態や躁状態の再発予防に効果があります。躁状態でも、気分の不快さを伴う躁状態に効くと言われています。

リチウム同様にお薬の適正量があり、採血検査にて血液中のお薬の濃度を測りながら、内服を続けます。リチウムなどと比べて、比較的安全なお薬です。

ただし、胎児への催奇形性や知能低下を引き起こす可能性のあるお薬であるため、妊娠の可能性のある患者様は、主治医に相談してください。お薬の服用量が多くなればなるほど、胎児への影響が強く出てしまうため、妊娠が発覚した場合には、バルプロ酸を中止して他の薬剤への変更するか、少なくともバルプロ酸の減量を検討いたします。

なお、ラモトリギンと併用した場合、ラモトリギンの血中濃度を上昇させてしまい、ラモトリギンによる重篤な皮膚症状を発現させてしまう可能性があるため、注意が必要です。


●カルバマゼピン・テグレトール
元々てんかんのお薬でしたが、双極性障害にも効果があることが認められました。

躁状態や躁状態の再発予防に効果があります。

副作用に、めまい、運動失調、複視、眠気、倦怠感、低ナトリウム血症、白血球減少、肝障害などがあります。ラモトリギンと同様に、重篤な皮膚症状が発現する可能性もあります。

催奇形性のあるお薬であるため、妊娠の可能性のある患者様は、主治医に相談してください。

また、種々のお薬の血中濃度を下げてしまうお薬でもあるため、注意が必要なお薬です。


●ラモトリギン・ラミクタール

新しい抗てんかん薬の一つであり、双極性障害にも効果があることが認められました。

リチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンと異なり、躁状態に対する治療効果は乏しいとされています。一方で、抗うつ効果やうつ病層への再発予防効果が期待されるお薬です。

他の気分安定薬と異なり、妊婦に対しても、比較的安全に使用できるとされています。ただし、母乳には移行するため、授乳は避けていただきます。

ラモトリギンは、副作用として、非常に稀ですが、投与初期や投与初期の増量中に、命にかかわる重篤な皮膚症状を起こすことがあるお薬です。特に、バルプロ酸・デパケン・セレニカと併用している場合には注意が必要です。ラモトリギンを内服し始めて、発疹が出現した場合には、直ぐに内服を中止してください。



【抗精神病薬】

ジプレキサ・オランザピン
双極性障害における躁状態の改善:1回10mgを1日1回より開始します(最大量は1日20mg)

双極性障害におけるうつ状態の改善:1回5mgを1日1回就寝前より開始し、その後1日1回10mgに増量します(最大量は1日20mg)。

もともと統合失調症のお薬でしたが、双極性障害にも効果があることが認められました。双極性障害における躁病相・うつ病相ともに効果があります。血糖値が上がったり、食欲増進、体重増加などの副作用があるため、定期的な血液検査が必要です。糖尿病の方にはお使いできないお薬です。値段の安いジェネリック品があります。


ビプレッソ
双極性障害におけるうつ状態の改善:1日1回50mgより開始し、2日以上の間隔をあけて150mgに増量します。その後、さらに2日以上の間隔をあけて300mgに増量します。内服は就寝前、食後2時間あけてからにします。

もともと統合失調症のお薬でしたが、双極性障害のうつ病相にも効果があることが認められました。血糖値が上がったり、食欲増進、体重増加などの副作用があるため、定期的な血液検査が必要です。糖尿病の方にはお使いできないお薬です。


エビリファイ・アリピプラゾール

双極性障害における躁状態の改善:1日1回12mg〜24mgを内服します。24mgを1日1回より開始しますが、1日最大30mgを超えないこととなります。

もともと統合失調症のお薬でしたが、双極性障害の躁状態にも効果があることが認められました。体重増加や、眠気、薬剤性パーキンソン症状などの副作用が少ないお薬です。値段の安いジェネリック品があります。

双極T型障害で、内服することが不安定な方については、エビリファイの持効性注射製剤・持続性注射製剤(LAI)があります。この持効性注射製剤には双極T型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制効果があります。持効性注射製剤を4週間に1回注射すると、4週間効果が持続するため、エビリファイ・アリピプラゾールを4週間内服し続けたこと同じ効果があります。


●ラツーダ・ルラシドン

双極性障害におけるうつ状態の改善:1日1回20mgから開始します。増量する場合には20mgずつ増やします(最大量は60mg)。空腹時に内服すると、お薬の血中濃度が低くなるため、食後に内服します。

2020年に日本で発売が開始されたお薬です。もともと統合失調症のお薬でしたが、双極性障害におけるうつ症状に効果があることが認められました。体重増加や代謝異常の副作用が少ないとされています(糖尿病になりにくい、コレステロールが高くなりにくい)。

なお、イトラコナゾール、ミコナゾールなど抗真菌薬(水虫のお薬)や、抗生物質であるクラリスロマイシン(クラリシッド・クラリスなど)とは、ラツーダの血中濃度が非常に高くなってしまうため、併用できません。新しいお薬であるため、ジェネリック品はありません。



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